やなせななブログ

シンガーソングライター・やなせななのブログです。

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セルフライナーノーツ・その9 タロー

やなせなな5th Album『夜が明けるよ』のセルフライナーノーツ
9回目です。


Tr.8 タロー
タローは、とある街の商店街にある、昔ながらの喫茶店です。

コンビニなんてものがまだあまり見かけられなかった時代、
学生たちはコーヒー1杯でこのお店に何時間も居座り、見果てぬ夢を語っていたのでした。

しかし時は流れ、お店はすっかり古ぼけてしまいました。
元気だったマスターもおじいさんになり
学生たちはいつしかお店を訪れなくなります。
あんなににぎわっていたお店は、今ではもうすっかり時代遅れとなり、閑古鳥が鳴いています。
仕方なく、メニューを減らし、それでも頑固に店を守るマスター。

ある日、どこかで見たことがあるような顔の中年男が、お店を訪れます。
思いつめたような、疲れた表情です。
そして、今ではもう出していない、以前の看板メニューを注文するのでした。
マスターは、そのメニューを知っているということから、この男がかつて店を訪ねていた学生のひとりだということに気づきます。

マスター自身にも夢がいっぱいあって、
この街が、まだ元気だった頃の、
あの頃の「若者」だと。


 あんなうまいもん ほかに見つからないんだよ

その言葉に押され、マスターは久しぶりにフライパンを握り、自慢のオムライスを作りました。
それを食べた中年男は、突然泣き出します。

マスターは思いました。
あんなに威勢よく夢を語っていた若者のその後の人生には
つらいこと、苦しいこと、思い通りに行かないこと…きっといろいろあったんだろうな、と。
それと同時に、感動していました。
ひとりの男の記憶の中に唯一無二の味を残すことができたのだ、と知ったからです。

店を大きくしたいとか、そんな大それた夢は叶えられなかったかもしれないけれど
誰かひとりでも、自分の作る料理を「おいしい」と言って、ずっとおぼえてくれていた
いちばん苦しいときに思い出して、食べたいと願ってくれた
こんなにうれしいことが、ほかにあるだろうか
俺の人生は、捨てたもんじゃないな、と
マスターはしみじみ思いました。


中年男は思い通りに行かない日々の中
何を想うのか―
ただ黙って、泣きながらオムライスを必死に頬張るのでした。



…というような
この歌は、短いお芝居のような曲です。
いつかこういう歌を書きたいと、ずっと思っていました。

歌詞は最初はもっと字余りで、長かったのですが
説明臭いところを叩いて削り
途中からは曲と同時進行で作って行きました。

出来上がってすぐ、唄いたくてうずうずしたので、ライブでピアニストの大山りほちゃんと演奏しました。
ですから、CDのアレンジはミムラシンゴさんですが、最初に演奏したりほちゃんのピアノアレンジのイメージも、大きく影響しており、ピアノは重要な聞きどころでもあります。
また、レコーディングに当たっては、キーボードの後藤英見さん、そしてウッドベースのウミネコ楽団・新井洋平さんの素晴らしい演奏がプラスされ、曲の世界が広がりました。
また、ドラムの北航平さんには、レコーディングの手順上の問題で、非常に苦労をかけることになった部分もありますが、
完成したものはイメージを上回る、感動的で、どこかなつかしい、素敵なサウンドになりました。


この歌詞は、実話が元になっていますが、モデルになったお店は喫茶店ではありません。
歌は、ノンフィクションとフィクションの交差点のようなところがあり
これは、その具合が思い通りに組み合わさった作品です。

40代~50代の男性から、特に支持をいただく曲で
それはこの歌の世界にご自身を重ねていただいているからに他ならず
ほんとうにうれしいですね。


時代の移り変わり
そして、誰もがみんな歳を重ねてゆく
そのせつなさ、さみしさ

そして、立ち止まって自分の人生を振り返ったとき
それでも自分は間違っていなかったんだな、と思える道がそこに続いていたことに気づく
そういうものを表現したかったのです。



せっかくお芝居仕立ての曲なので、ミュージックビデオを作ろう!と思い立ったところ
以前からお付き合いがある、大阪市のウェディングムービーなどを制作されている株式会社クローヴ・プラスワン様に、全面的なご協力をいただけることになりました。
そこでいろいろと話し合いを重ね、社員の皆さんと共に意見を交換して構想を練り
以前、劇中歌で「さくら」を使っていただいた、錦織一清さんの「QTプロジェクトvol.2」『あゝ同期の桜』にご出演された俳優さんたちにご出演をお願いすることに。こちらも、お忙しい中、皆さんがお力を貸してくださいました。

ロケは、神戸市長田区にある、喫茶店・日本堂様にご協力をいただきました。
ロケ日本堂夫妻
本当にイメージ通り!!!
昔ながらの喫茶店の、実に良い味を出しているこちらのお店は、今でも現役で営業されています。
昭和の香りが残る商店街ともども、たびたびドラマや映画のロケ地になっているのだとか。
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撮影風景↓
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大変だったのは、時間の経過を表現すること。
特に主役のマスターは、若かりし頃を、おじいさんになってから回想するという設定なので、演じてくださった俳優・三浦祐介さんと、おじいさんに近づけるよう最大限の努力をしてくださったメイクさんには、とても苦労をかけました。
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中年男と、老年マスターの、一番重要なシーン↓
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中年男役の小川智之さんの演技を生で拝見し、ぐっと来ましたね。

撮影が終わって、出演してくださった俳優さんたちと↓
ロケ俳優さん

そして、朝早くから全力で撮影してくださった、クローヴ・プラスワンの皆さんと↓
ロケ全員
和やかな現場でした。
ほんとうにありがとうございました!!!

たくさんの人のお力をお借りして、完成した「タロー」ミュージックビデオはこちら↓↓


そんな「タロー」が収録されているアルバム『夜が明けるよ』発売記念ライブの情報も含めて、スケジュールページに随時アップしておりますので、是非お越しください!!!
このあとは、大阪、東京、宇都宮、白石などが決定しています。
また、来年2月は大阪でスペシャルなコンサートが!!!!
おそらく最初で最後になるのではないか、と思うほどの大規模公演
是非お見逃しなく!!!!

★スペシャルコンサート 特設ページはコチラ




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