やなせななブログ

シンガーソングライター・やなせななのブログです。

  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

青空ピアノ

昨日は、ある事故から9年目の日でした。
地元関西では、追悼番組や、事故を考察する番組がテレビで流れましたが
中でもご遺族のことばは
今でも胸に深くつきささります。


私ごとで、まったく関係はありませんが
あの事故から半年後、わたしはがんになりました。
8年前の今ごろは、自分を包む空気は日ごとにあたたかく、明るくなるのに
わたしはそんな光の中から取り残されているような気がして、
どうしてこんなに苦しいのだろうかと
咲き始めた花を見ながら
ただただぼんやりと過ごしていました。

そんな時です。
事故から一年が経った、ご遺族の姿をテレビで見ました。

自分がそんな状態だったことも少なからず関係あったのか
ひとことひとことが
かなしくてせつなくてどうしようもなくて
そうして
「青空ピアノ」
といううたを書きました。
ある日突然奥さまを失った、50代くらいの男性が主人公です。


わたしは曲を作るとき
詩が先にできることもあれば、曲が先にできることもあり
また同時に出てくることもあるのですが
まずは
伝えたいこと、表現したいこと
が、あって
次に
その歌のイメージ画
という感じで、うたが浮かんで来ます。

「青空ピアノ」は
窓からわずかな光が差し込んでいる、決して明るくはないごくふつうの家の洋風の居間に
これまたごく一般的な、きれいでもなく古くもないようなアップライトのピアノが置いてあって
そこに
ごくふつうのおじさんが手をかけて
涙を流すこともできずに、立ち尽くしている
という絵がまず浮かびました。
部屋はたいせつなものが欠けてしまって、がらんとした静けさに包まれています。

おじさんはそのピアノを開けて
人差し指だけで
ピアノを弾いてみます。
そうでもしないと
広くなった部屋にひとり、手持無沙汰だったから。

奥さんの趣味だったピアノを
まるで聞いてやったことがなかったなあ
とか
そんなことをぼんやり考えつつ
ふたりで出会い、生きてきたそれまでのことを
ぽつりぽつり
ひとりぼっちで想い返す背中
そのうち
ピアノ、習ってみようか、と思い立って
駅前の雑居ビルにある
「大人のための初心者ピアノ教室」に通い始めます。
思うように動かない指
かんたんには弾けないピアノ。
たどたどしい音は
奥さんを失ったあと
生きていくことがとても難しくて
頼りなくなったおじさんの心そのものを表しています。

でもうたの最後は
明るい丘のようなところに
グランドピアノがあって
青空の下
おじさんは
堂々と
そのピアノを弾いているのです。
とはいえ
やっぱりたどたどしい指運びです。

かんたんには上達しないピアノのように
君のいない今日を、元気に生きることはなかなかできそうもない
でも
がんばるから
見てて
おじさんはそんな想いをこめて
空を仰ぎます。
顔はほんの少しだけ、笑っていました。

わたしの頭の中に浮かんだその絵を追いかけるように

 遠い青空の上から
 心配そうに僕を見てる
 だいじょうぶ
 笑って聞いててよ
 僕のへたくそピアノ

という詩を書きました。
その後、曲は何度か迷った末、明るいものをつけました。



今年の追悼番組では
たいせつなご家族を失ったあと
その意志を継いで
がんばって生きているよ
と呼びかけるご遺族の姿が映っていました。
その人は
涙をこらえているのか、時折ことばに詰まっていましたが
まっすぐ前を見つめているように見えました。



痛ましい事故が
これ以上 起こりませんようにと
今はただ祈るばかりです。

img013.jpg







こんなところにも参加してみました(*^▽^*)
ポチっとクリックしていただけると、うれしいです。
↓↓↓
にほんブログ村 音楽ブログ シンガーソングライターへ
にほんブログ村

にほんブログ村 その他日記ブログ 30代 日々のできごとへ
にほんブログ村
関連記事

| うたのこと | 2014-04-26 | comments(-) | TOP↑

PREV | PAGE-SELECT | NEXT